《明白に分かる》ガリレオガリレイとは – 地動説や裁判になった背景を解説

当ページでは、イタリアの哲学者ガリレオガリレイとはどんな人物であるのか、どんな事をしたのか紹介しているページです。ガリレオについて調べると「地動説」「望遠鏡」「裁判」のキーワードが上がると思います。

長文ですが、しっかり分かるように記載していますので是非ご覧ください。

ガリレオとは

実験、観察を重ね物理学や天文学の新たな発見を示した

ガリレオとは、一言で言うと当時の常識を覆し物理学や天文学で新たな発見した人物です。

上記の文章だと哲学者の印象は薄いですが、イタリアのトスカーナと言う名の地域の君主から哲学者として任命されています。

新しい発見をしたと言っても何がすごかったのか分かりにくいと思います。下記ではより具体的にどんな発見を提唱したのか紹介します。

当時絶対的だったアリストテレスの間違いを指摘した

アリストテレスは紀元前4世紀の哲学者です。自然科学に関する研究を多く残し「万学の祖」と呼ばれていました。

つまり、簡単に言うとすごい学者で当時の人々はアリストテレスの説は絶対的に正しいと信じていました。そして、1900年も経ったガリレオの時代にもアリストテレスの説が無条件に正しいと言う考えは続いていました。

そのアリストテレスの説の一部をガリレオは否定しました。アリストテレスの説は論理によって考えられていたので実験をしたら間違っている可能性もあると主張したのです。

そして実際にアリストテレスの説の一部はガリレオによって否定されました。1,900年使用された教科書に偏見を持たず間違いを指摘したのです。

地動説を唱えた

アリストテレスを否定するだけではなく、ガリレオは地動説を主張しました。地動説とは太陽を中心に地球が回っていると言う説です。地動説の主張にはキリスト教の教えが関わってきます。

当時は、アリストテレスと並ぶ程キリスト教は絶対的な教えだとされていました。そのキリスト教は天動説の主張を取っていました。天動説は、地球を中心に他の惑星が回っていると言う説です。

キリスト教の主張と異なった主張をする者は異端者として裁判にかけられ、処刑されてしまう程の恐れもあったのです。

ガリレオは論理だけではなく、当時発明された望遠鏡を改良する事で天文観測を実際に行い地動説を主張していったのです。また、キリスト教の信者にも信じてもらうため本拠地に行き講演や書籍を執筆しました。

ガリレオ生誕から大学まで

ここからは、ガリレオの生まれから亡くなるまでの歴史を辿っていきたいと思います。この章ではガリレオの生まれてから大学までを記しています。

イタリアで音楽家の家に生まれる

ガリレオは、1564年2月15日に音楽家のビンチェンツォガリレイの長男としてイタリアのトスカーナ地方のピサの郊外で生まれました。

当時、日本では織田信長が桶狭間の戦いで今川義元を破り勢力を強めているところです。

医者になるためピサ大学に入学

ガリレオは16歳まで修道院で過ごし勉強しました。勉強もよくできる子供だったそうです。

ガリレオは父の勧めで医者になるためピサ大学に入学しました。しかし、ガリレオは昔の学者が発見した事を常識としてただ伝える大学の講義に退屈を感じていました。

物理学と出会った大学時代

ガレノスやアリストテレスの説を巡って教授と大げんか

ガレノスは、2世紀に活躍した医学者です。当時、ガレノスやアリストテレスの説を大学の教授達はそのまま伝えるだけの授業をしていました。ガリレオはその教授達に対して本当に正しいのかと噛み付いて過ごしていました。

オスティリオ・リッチとの出会い

退屈だった大学時代、ガリレオに素晴らしい出会いがあります。トスカーナ地方で有名な数学者オスティリオ・リッチ（以下リッチ）との出会いです。ピサに訪れ数学を教えにきたのでした。

ガリレオは、興味本位で数学の授業を受けに行きました。これが後に物理学の研究を進めるきっかけになりました。リッチの講義はガリレオにとっては面白く、その後医学の勉強はせずに独学で数学の勉強をしました。

ガリレオの父は数学の勉強には反対でしたが、高明なリッチの後押しがある事も知り医学の勉強を継続する事を条件に数学の勉強をする事を許可します。リッチはガリレオに数学の才能を見出していたのです。

「振り子の等時性」の発見

振り子の等時性とは、糸の長さが同じであれば振り子の振り幅が変わったとしても1往復する時間は同じになると言う性質です。

数学の勉強を許可されたガリレオでしたが、医学の勉強が退屈になるとピサの大聖堂に訪れていました。そこでぶら下がるシャンデリアを眺めていて発見しました。ガリレオ初めての大発見です。

結局ガリレオは医学の勉強をする気になれず大学卒業の前に退学となりました。

数学教授となりアリストテレスの説の一部を実験によって否定

大学退学後、ガリレオは数学の家庭教師をして生計を立てながら独学で数学の勉強を続けていました。リッチとも交流は続いておりトスカーナ地方でガリレオの名は広まっていました。

ガリレオはトスカーナの権力者に推薦されピサ大学の数学教授として迎えられました。25歳でピサ大学へ戻ることになったのです。

落体の法則の否定

ここでガリレオはアリストテレスの説の一部を否定します。当然生徒は不安を抱きますがその生徒達をガリレオはピサの斜塔まで連れていきます。そこでガリレオは一つの事件をしました。

こうしてガリレオは大学でこれまで常識に対して実験と観察を行い真理を説き続けました。しかし、その正直さはトスカーナの権力者に対しても変わらず、権力者を怒らせたガリレオは僅か3年でピサ大学を去る事になりました。

ベネチアのパドバ大学に数学教授として迎えられる

大学を去る事になったガリレオでしたがリッチ含め多くの有力者から推薦されベネチア共和国のパドバ大学迎えられる事となりました。パドバ大学では、28歳からの18年間を過ごし幸福な日々を過ごしました。

当時ベネチアは独立心が強くで新しい考えに対しても寛容な国であったためガリレオにとってはとても良い環境でした。ガリレオは、ベネチアに滞在中にマリナ・ガンバと出会い事実婚しています。

天文学の探求

この章からはガリレオの天文学に関しての章になります。ここからガリレオはカトリック教会と地動説、天動説を巡った戦いに入っていきます。

天動説を否定し地動説を主張

天文学に移るきっかけは、一通の手紙から始まりました。ドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーが天動説についてどのように考えているかガリレオに訪ねてきたのです。

ガリレオの主張は、天動説では説明出来ない事があり地動説の方が正しい可能性が高いというものでした。地動説は、1534年にコペルニクスが唱えた説です。

天動説で説明出来ない事とは、惑星が楕円運動（中心とする惑星の回りを楕円に回る）事が前提であるならば地球から見た惑星は全て規則的に動くはず。しかし、不規則に動くように見える星がある事から天動説では説明出来ないとしました。

地動説とカトリック教会の関係

ガリレオの主張は、地動説を支持したものでしたがその考えは公にできるものではありませんでした。理由は、カトリック教会の存在です。

カトリック教会とは、キリスト教の教派です。イタリアのローマに中心となる大聖堂があったためその地域周辺では大変な力を持った宗教団体でした。地動説は聖書の教えに矛盾を生みます。そのため、カトリック教会は天動説を支持していました。

当時、キリスト教の教えはアリストテレスと同様に絶対的と考えられていたため地動説を主張する事は大変恐ろしい事でした（アリストテレスも天動説を支持）。哲学者ジョルダーノ・ブルーノは地動説を主張した事で火あぶりの刑に処されています。

オランダで望遠鏡が発明、改良を加え天文観測を可能に

ガリレオは、地動説を主張する事の危うさを分かっていたため控えていましたがある事がきっかけでその衝動を抑えられなくなっていきます。

その出来事とは、望遠鏡の発明です。偶然に二つのレンズを合わせた時に遠くのものが見える事で発見されました。その発明品、望遠鏡をガリレオは直ぐに改良を加える事で倍率を30倍まで高め天文観測を可能にしました。

月に窪みがある事を発見

ガリレオのは、月に窪みがあり凸凹したものだという発見をしました。当時、天体は滑らかな球体であるとされていたのでここでも新たな発見をしたのです。

ガリレオは月と合わせて木星の観測もしました。その研究成果をトスカーナの君主に献上します。トスカーナの君主は元ガリレオが家庭教師をしていた事もあり亡くなったリッチの後任として君主お付きの数学者、哲学者として迎えられる事になりました。

太陽に黒い染みを発見

ガリレオは、トスカーナの君主お付きになった事でパドバからトスカーナへ移って来ましたがそこでも天文観測を続けていました。夜だけではなく、太陽の観測を始めました。

そして、弟子の考えた観測方法（太陽の光を望遠鏡で映し出す）で目を痛める事なく太陽の観測にも成功しました。そこで黒い染み（黒点）がある事を発見したのです。

カトリック教会の本拠地ローマに向かう

カトリック教会の一部で新しい発見を重ねていったガリレオの研究成果に一目置き正しいと判断する者達も現れてきました。

ガリレオはパドバ大学の滞在時にキリスト教信者の知識人達とも知り合い交流を深めていました。その人達が味方になりキリスト教の中でも地動説の主張を広める事ができる考えカトリック教会の本拠地に向かうことを決意しました。

地動説の講演を重ねるガリレオに警告が入る

ガリレオは、ローマへ向かうとかつて知り合った知識人達に招かれ講演活動をする事ができました。ガリレオは講演活動を通し賛同する人々を増やしていきました。

後のローマ教皇となるバルベリーニ枢機卿や、当時ローマ教皇であったパウルス五世とも知り合っており、カトリック教会の最高権力者達もガリレオの研究成果を高く評価し認め始めていました。

しかし、活動を進める中で反ガリレオ派の反感は益々強まっていきました。ガリレオは反ガリレオ派の人達に”決して聖書を否定している訳ではない”という事を伝えるため手紙を用意し沢山の人に理解してもらおうとしました。ですが、反アリストテレス派は手紙を書き換え内容を捻じ曲げたりしました。

こうしてローマにはガリレオを避難する声も増えていきました。カトリック教会の意向としてガリレオは異端であると判断されました。ガリレオを味方する権力者達はガリレオが処罰されないよう手を尽くしました。処罰は受けませんでしたが地動説に関して主張する発言を禁じるよう警告を受けました。

地動説を一つの考えとして討論を題材にした本の執筆

地動説に関する主張を禁じられたガリレオに更なる不幸が続きます。自身は病気がちで寝込む事が増え、妻、母親、妹など家族が亡くなりました。おまけにトスカーナやローマでガリレオの味方をした権力者達も亡くなってしまいます。ローマ教皇のパウルス五世も亡くなりました。

ガリレオは苦しみながらも「偽金鑑識官」という本を出版します。この本では、地動説を考えながらも神が偉大である事も記していました。新しくローマ教皇となったウルバヌス八世（バルベリーニ枢機卿）はかつてガリレオと会い交流していた事もありこの本を高く評価しました。

地動説を支持したとしてカトリック教会ではガリレオを批判する者もいましたが、ウルバヌス８世は地動説を一つの考えとして用いるだけなら問題ないとし不問にしました。

そして、ガリレオは新たに執筆を進める事を決意しました。新しい本では、3人（”地動説の立場”、”天動説の立場”、”中立の立場”）の登場人物を用意し、論争を繰り広げる内容です。ガリレオが68歳の時に「天文対話」という書籍名で出版されました。

カトリック教会から裁判をかけられる

「天文対話」は評判で大ヒットしました。しかし、反ガリレオ派は激しく非難しガリレオを処罰するため動きました。ウルバヌス八世に地動説を主張した内容であると嘘を吹き込み裁判にかけようとしました。当時、戦争が続きウルバヌス八世は本を読む事ができていませんでした。

ガリレオは異端審問所で尋問を受けます。ガリレオは地動説は仮説の一つであるという主張をしますが、過去に警告を受けていた事もあり裁判は良い方向には進みませんでした。

ガリレオはウルバヌス八世の提案で罪を認めるよう促されます。裁判で事が大きくなってしまったためローマ教皇の立場から強い態度を示さなければなりませんでした。

罪を認めなければ牢獄に入れ拷問にもかけなくてはならなくなります。ウルバヌス八世はガリレオを高名な学者と認めていたので牢獄に入れる事なく済ませたかったのです。

結果、ガリレオは自身で罪を認める事となります。「天文対話」発行禁止となり、過去の過ちを無理矢理認める事となりました。苦々しい思いを抱きながら『それでも地球は動いている』そう呟いたと言われています。

死ぬまで学問への情熱を衰えなかった

裁判で罪を認めたガリレオは、牢屋に入る事は免除され自宅に帰る事を許されました。しかし、外出は制限され集会も禁止されました。

そんな状況の中でもガリレオの学問への情熱は衰えませんでした。弟子達を取り隠れて本の執筆も進めました。そして、晩年は失明し目が見えない状況ながらも学問を伝えながら静かに息を引きとっていったそうです。

ガリレオガリレイ　-　名言

ガリレオガリレイ　-　まとめ

ガリレオガリレイは、当時絶対的であったアリストテレスやキリスト教の聖書に正面から向き合い新たな発見を示してきました。とても正直な人物であったのでしょう。

時にその正直さは人を怒らせ裁判をかけられたりなど不利な状況を招く事になってしまいましたが、ガリレオの周りには常に高く評価し味方する存在がありました。それは、ガリレオが常に真理を求める姿勢を貫いたからだと思います。

現在、ガリレオの主張した地動説は真実となりました。ガリレオの様に情熱を持って生きる姿はとても現代にとっても鑑となるのではないでしょうか。